論考記事

ゴーストブローカーの摘発に引受不正検知を

作成者: Shift Technology|2021/11/30 23:00:00

オンライン保険代理店の増加や価格比較ツールの発達によって、保険料比較や消費者自身にあった最適な商品の選択が容易になりました。つまり、保険代理店や保険ブローカーの従来の役割が変わってきたのです。たとえば、ドイツでは10年前に比べて保険代理店が33%減少しています。

加えて、インターネットの普及により、保険会社によるダイレクト保険も一般化しました。しかし、この便利さがゴーストブローカーと呼ばれる募集人資格を有さない偽のブローカーに悪用されています。

ゴーストブローカーは、保険料に重きをおいている、あるいはインターネットには詳しくても保険の仕組みをよく知らない若者をメインターゲットにしています(被害者の34%が17~29歳)。ゴーストブローカーは、ソーシャルメディアの広告を通じて魅力的な低価格の保険を紹介し、若者を勧誘します。このような誘いに乗って、被害者は偽の保険に加入してしまいます。しかしゴーストブローカーは被害者から保険料を受け取り、正規の保険契約を締結するも保険証券を受けとり次第解約し、解約返戻金を受け取って保険対象の事故が起こると多くの場合は姿を消します。

ゴーストブローカーの特徴

ゴーストブローカーは、「保険代理店と提携しているため通常よりも低価格で商品を提供できる」と説明しますが、彼らは実際には保険代理店やブローカーのライセンスを保有せずに、次のような方法で活動しています。

  1. 事実と異なる情報を用いて最安値の保険に加入し、被害者から受け取る保険料との差額を着服する方法
  2. 存在しない保険契約をでっちあげ、保険料の全額を搾取する方法
  3. 正規の保険に契約し保険証券を被害者に渡したのちに保険を解約し、保険返戻金を着服する方法。
  4. (イギリスでは警察が保険証券を確認できるデータベースがあり)警察にデータベースで確認され詐欺行為がばれないように、複数の被害者の情報を用いて勝手にフリート契約を締結し、契約が正式なものであるかのように偽装する方法

その結果、被害者は保険会社ではなくゴーストブローカーに保険料を毎月支払うことになり、事故を起こして初めて詐欺に気がつきます。そして「自分が正規の保険に入っていないこと」「自分が契約した保険では保険金が支払われないこと」を知るのです。多くの国や地域では自動車任意保険の加入が義務付けられている場合があるため、このような場合、個人に罰金や有罪判決が課される可能性があります。

保険知識に疎い消費者がゴーストブローカーを見破ることは容易くありません。しかし、消費者は保険を購入する前に、自身が利用するブローカーや代理店がライセンスを所持しているか必ず確認する必要があります。一方で、保険会社もゴーストブローカーによる損害を阻止することに大きな関心を持っています。

ゴーストブローカーの台頭に伴い、消費者だけではなく保険会社も金銭的なリスクに直面する可能性があります。また、請求直後に不正な保険契約が判明した場合は、その損害サービス対応と契約を解除するために時間と労力がかかります。最終的に、ゴーストブローカーは保険会社の印象を悪くし、保険会社が生涯にわたってサービスを提供したい若年層契約者との関係を悪化させます。

ゴーストブローカーは保険のインフラを悪用

なぜゴーストブローカーが存在するのかというと、彼らは「大手の保険会社では顧客情報がサイロ化していることが多く、引受プロセスでは疑わしい請求のパターンが自動的に検出されない」ということを知っているからです。つまり、ブローカーは誰にも気づかれず同じ保険に複数人を加入させることができるのです。

たとえば、あるゴーストブローカーが、被害者全員を対象として1つの大きなフリート契約を締結するとします。そうすると、その保険証券に記載されている電話番号と住所が全員同じものになります。多数の大人が同じ連絡先情報を共有していると不審に思われるのですが、ゴーストブローカーは必ずオンライン、電話、支店などさまざまな異なる経路を使って保険契約を開設します。それぞれの窓口でデータベースを共有していなければ、保険会社内で情報をやりとりすることはできません。そのため、保険会社が潜在的な不正を検知するまでしばらく時間がかかってしまうのです。

さらに、ゴーストブローカーは保険料を安くするために偽の情報を使用することがあります。例えば、18歳のドライバーの年齢を、保険料が安い36歳だと偽るのです。この場合、もし保険会社が外部のデータソース(政府発行の身分証明書データベースなど)を使用していなければ、ドライバーの実年齢を確認すること難しく、告知義務違反の証明に時間を要することがあるのです。

Shift Technologyの引受不正検知でゴーストブローカーを摘発

Shift Technologyの引受不正検知ソリューションを用いることで保険会社は簡単にゴーストブローカーを検知し、ゴーストブローカーによる被害を阻止することが可能になります。

AIを用いたShift Underwriting Fraud Detection(シフト・引受不正検知)では、外部のデータソースだけでなく、保険会社の全支店のデータを一元管理することで、引受担当者の不正検知を容易にします。例えば、ゴーストブローカーが同じ情報を使用して複数の消費者を保険に加入させようとする場合、別のチャネルや偽の情報を使用して保険を契約しても、AI により高確率でその不正が検知されます。

また、引受不正検知ソリューションでは顧客データの異常なパターンを検知することができます。例えば、不正検知ソリューションが「複数の契約者が同じIPアドレスでそれぞれの口座を開設し、すぐに解約した」ことに気づいたとします。これはゴーストブローカーが顧客を騙そうとしていることを示すパターンであり、さらに調査するよう引受担当者へアナウンスすることが可能になります。

ゴーストブローカーは保険会社にとっても大きな問題です。保険会社に直接の影響はないものの、対策にはコストがかかり、契約者との関係を悪化させることがあります。ゴーストブローカーが取引できないようにすることで、保険会社は自社、契約者、そして最終的な利益を守ることができます。詳細については、今すぐShift Technologyにお問い合わせください。