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約100名を超える保険業界のリーダーが集結 | 保険の未来と生成AI - シフトテクノロジー
保険業界の未来とAI活用を語るイベントを開催 - 保険業界のキーパーソンが集結

2023年7月6日、シフトテクノロジーは保険業界に従事する方々を対象に『テクノロジーの進化と保険の未来~グローバルインシュアテックCEO及び生損保リーダーが描くビジョンとは?~』と題したイベントを開催しました。

イベントには弊社CEO兼共同創業者であるジェレミー・ジャウィッシュ、日本事業責任者/セールスディレクター・小出周作の他、東京海上ホールディングス株式会社 常務執行役員 グループCDO・生田目 雅史 氏、第一生命保険株式会社 執行役員・江口 武彦 氏、エグゼクティブ・アーキテクト IBMコンサルティング事業本部 保険・郵政グループサービス事業部 日本アイ・ビー・エム株式会社 河野真介 氏、市村茂雄 氏が登壇。テクノロジーの進化がもたらす保険の未来のビジョンについてご講演いただきました。

また、イベント第二部では懇親会を開催。来場者の皆様と登壇者の皆様、そしてシフトテクノロジーメンバーによる交流が行われました。

インシュアテックビジョナリーをめざす(日本事業責任者/小出周作) | 保険の未来と生成AI - シフトテクノロジー
コロナ禍以降の4年間で保険業界はどう変わったか

丸ビルホールで開催された本イベントには、保険業界のリーダー層を中心に約100名が参加。会場は満席となり、本イベントのテーマでもある「テクノロジーの進化が保険業界に与える影響」についての注目度の高さが伺えました。

そんな中、最初に登壇したのはシフトテクノロジー日本事業責任者/セールスディレクターの小出周作です。

小出はまず、2019年に行われた前回のイベントを振り返り、「当時は保険業界でAIがブームになった頃だったが、今となっては保険業務にAIが使われるのは普通のことになった」と、この4年の変化について語りました。

そうしたインシュアテックの旗手として存在感を高めているのがシフトテクノロジーです。パリで創業したシフトテクノロジーは、保険業界の意思決定を自動化・最適化することをミッションにビジネスを展開。強力なAIを搭載した意思決定プラットフォームと、100%保険業界にフォーカスしたドメインナレッジ、そして世界最大規模のデータサイエンスチームという3つの柱をもとに成長を続けています。具体的には、シフトテクノロジーのお客様はコロナ禍以降の4年間で2倍以上に増加。契約・請求における分析実績は5千万件から26億件と急速に拡大しています。

また、シフトテクノロジーの最大の特長ともいえるのが、従業員数の約半数をテクノロジー人材が占めていること。この人材の層の厚さと技術力を武器に、シフトテクノロジーは1ベンダーの立ち位置から、次のステージへと進もうとしています。

「これまでシフトテクノロジーはAIで保険会社の意思決定を自動化、最適化するソリューションベンダーという立ち位置でした。しかし、これからは保険業界の課題に取り組むインダストリーパートナーとして、さらには保険の未来に貢献するインシュアテックビジョナリーへと成長していく必要があると感じています」(小出)

優れた顧客体験が鍵(日本アイ・ビー・エム/河野真介) | 保険の未来と生成AI - シフトテクノロジー

IBMが見据えるAIの進化と未来の社会像

続いて、日本アイ・ビー・エムから河野真介 氏と市村茂雄 氏のお二人が登壇。『先進ITで描く世界-保険編からのDXアプローチ』と題した講演を行いました。

河野氏はまず、40ヶ国以上28産業から3,000人のCEOを対象としたアンケート調査の結果を提示。それによると、「すべてのCEOが、より優れた顧客体験を今後2年から3年の間の最優先事項と考えている」といいます。この結果は当然、保険業界にも当てはまるものといえます。

では、この「より優れた顧客体験」を実現するために、保険業界はどのような変革を目指すべきなのでしょうか。河野氏がポイントとして挙げるのが、「バーチャルを活用したお客様接点の獲得」「大量かつ長期のデータ分析」「生保や損保といった業界の壁を取り払ったプラットフォームの統合」の3点です。

これらの変革を成し遂げるには、今はまだ様々な壁もあると河野氏は指摘します。

「たとえば、サイロ化された組織の壁やマネタイズの壁、人材やスキルの壁、既存システムのメンテナンスに手一杯になってしまう壁、セキュリティを含めたデータ管理の壁などが課題になっています」(河野氏)

こうした課題にどう取り組めば克服できるのか。講演では、課題解決のためのアーキテクチャが提示された他、フロントサービスにおける課題と解決策についても具体的に解説がなされました。

リアルとデジタルの一体化をめざす(日本アイ・ビー・エム/市村茂雄) | 保険の未来と生成AI - シフトテクノロジー
また市村氏は、現在トレンドにもなっている生成型AIを保険業界にどう適用していくのかというテーマについても解説されました。

2023年5月、IBMは新たなAIサービス「IBM watsonx(ワトソンエックス)」を発表しています。市村氏によると、すでにIBMはwatsonxによる生成AIをどのようなユースケースに活用していけるか、顧客との議論を進めているといいます。

「会話型AIによるカスタマーサービスや、人事領域の取り組みをサポートするHRデジタルワーカー、レガシー技術者不足の解消やモダナイゼーションにおける課題を解決する自動コード生成などのユースケースを検討しています」(市村氏)

この他にもIBMは様々な先進ITによる変革を進めています。たとえば、あらゆる作業を自律化・最適化するエンタープライズAIや、あらゆる環境でクラウドを活用するクラウドネイティブ・プラットフォーム、業界や業種を超えて工場をつなぎ共創するインダストリー・プラットフォームなどの構想が進んでいます。

こうした先進ITによる変革で、IBMは「リアルとデジタルが一体化する世界」を目指すのだと市村氏は語りました。

保険会社に自由をもたらすことがミッション(ジェレミー・ジャウィッシュ) | 保険の未来と生成AI - シフトテクノロジー

シフトテクノロジーの生成AIアプローチ

続いて登壇したのは、シフトテクノロジーCEO兼共同創業者のジェレミー・ジャウィッシュです。

ジェレミーはまず、シフトテクノロジーのパーパスとして「より多くの方法で、より多くのお客様に、保険会社にかつてない自由をもたらす。」というメッセージを紹介。自身がそう考えるようになったきっかけとして、18歳で初めて保険に入った体験について語りました。

「初めて保険商品を買ったとき、これでアパートで何かあっても安心だと思いました。それが保険に興味を持ったきっかけです。シフトテクノロジーのミッションは、保険会社をもっと“自由”にして、その分顧客により多くのサポートを行えるようにすることなのです」(ジェレミー)

生成AIの保険適用アプローチについて講演(ジェレミー・ジャウィッシュ) | 保険の未来と生成AI - シフトテクノロジー


ジェレミーはさらに、AIで保険業界をサポートする意義についても説明しました。

「AIはすでに意思決定のサポートや不正の検知、代位求償などに活用されています。これにより、保険会社は人があまり時間をかけるべきではない作業から解放され、お客様のために動くという本来の仕事に集中できるのです」(ジェレミー)

続いて、ジェレミーは生成AIへの取り組みについても紹介しました。

生成AIは現在、その言葉を聞かない日はないといえるほどの熱狂の中にあります。一方で、ガートナーのハイプ・サイクルによると、生成AIは現在「イノベーション・トリガー」から「期待のピーク」に位置しており、ここから期待度が下がる「幻滅の谷」に入っていくのではないかとジェレミーは予想しています。

そうした中で、シフトテクノロジーはどのように生成AIに対してアプローチしていくのか。重要なのは一時の熱狂に惑わされることではなく、シフトテクノロジーの技術を生成AIとどうかけ合わせ、お客様に届けていくのかだとジェレミーは言います。

その取り組みの一環として、シフトテクノロジーはMicrosoft Azure OpenAIと提携。書類の作成や不正検知、代位求償などのユースケースに焦点を当て、よりサービスを強化しています。

「生成AIのテキスト理解力は驚くべきものがあります。他社はデータサイエンティストとしての自負から、外部の生成AIを使うことに抵抗があるかもしれません。しかし、私たちはそうした外部の生成AIも積極的に取り込んでいきたいと考えています」(ジェレミー)

生成AIの活用については、国や業界によってもまだ意見が分かれるところです。たとえばフランスをはじめとする欧州では生成AIを規制する動きも見られます。そのような動きに対してシフトテクノロジーは柔軟に対応しつつ、生成AIの活用についてお客様に理解を求めていく方針です。

「たとえば、とある交通事故のレポートは94ページにも及び、担当者は数時間をかけて整理する必要があります。しかし、生成AIを活用すると、この作業をわずか数秒で行えるのです。このすばらしい成果をお客様に届けるためにも、私たちは生成AIを活用していきたいと考えています」(ジェレミー)

未来社会の創造につなげたい(東京海上ホールディングス/生田目雅史) | 保険の未来と生成AI - シフトテクノロジー

東京海上が推進するデジタル戦略とAI活用

続いて登壇したのは、東京海上ホールディングスの生田目 雅史 氏です。

生田目氏はまず、シフトテクノロジーの社名である「シフト」の由来について、「どういう想いで名付けたのかを考えた結果、『パラダイムシフト』ではないかと思った」と述べ、「パラダイムシフトとは価値観や概念が変わること。これこそシフトテクノロジーを体現する言葉としてふさわしい」と話しました。

まさにこのパラダイムシフトの真っ只中にあるのが、東京海上という会社です。生田目氏によると、東京海上はこの20年で事業ポートフォリオの分散が進み、そのポートフォリオをマネージするためにテクノロジーを活用してきたといいます。

具体的なデジタル戦略としては、顧客に対する「価値提供」および経営体制を含む「社内体制」を変革すること、そしてその変革を支えるデータ基盤の構築や人材の育成といった「デジタルケイパビリティ」の確立を進めてきたとのことです。

生田目氏はさらに、保険業界におけるAIの活用について「デジタルとヒトのベストミックス」が進んでいる現状を解説します。

たとえば、データによる事故状況の自動再現、AIによる商品提案や保証提案、お問い合わせに対するチャットボット活用といった具合です。

こうした中で、東京海上はシフトテクノロジーと業務提携を行いました。現在、シフトテクノロジーが提供する保険会社向けのAIソリューションの導入を進めており、様々なデータを活用することによる不正検知の向上などに期待を寄せているそうです。

生田目氏は最後に、「シフトテクノロジーをはじめとする企業の皆さんとともに向かって行きたいのは未来社会の創造」と述べた上で、「社会が発展すれば新たなリスクが生まれます。そこに保険能力を適用していきたいと思います」と想いを語りました。

アジャイルとは開発だけではなく働き方でもある(第一生命保険/江口武彦) | 保険の未来と生成AI - シフトテクノロジー

VUCAの時代に第一生命が取り組む「仮説検証型体制」とは

最後に登壇したのは、第一生命の江口 武彦 氏です。

江口氏はまず、生成AIの衝撃について「とにかく膨大に学習させればAIがさらに成長することを人類が知ってしまった」と述べ、「これだけの成長を見せられると、いずれAIは立派なコミュニケーション能力も持ち始めるのではと思わされる」とコメントしました。

「かつて社内では、AIがいくら進化しても営業分野ではヒトに勝てないだろうと話していましたが、どうもそれは違うかもしれないと思うようになりました。AIはいずれ、表情も声色も作り、相手にとって好意的なコミュニケーションもするようになるのではないかと妄想しています」(江口氏)

予想もつかない速度で進化を続けるAIを目の当たりにする中で、「だからこそ、我々は組織も仕組みもアジリティを高く備えておき、仮説検証型体制を社内展開することが重要」だと江口氏は指摘します。

仮説検証型体制とは、フィードバックに基づいて少しずつ仮説を検証し、改善を繰り返していく「アジャイル型」体制のこと。これに対して、すべてを作り終えてから初めて価値を提供する体制を「ウォーターフォール型」と呼びます。従来のウォーターフォール型をすべてやめるべきということではありませんが、少なくとも変化の激しい現代においては仮説検証型体制の方がうまくいくことが増えてきたのだと江口氏は言います。

このような考えから2021年10月に設立したのが、「第一生命アジャイル工房」という組織です。

プロジェクトを発足した際は、事業部門に属するプロダクトオーナーに加えて、このアジャイル工房から、エンジニアやデザイナー、マーケターといったメンバーが参加。アジャイル工房メンバーが仮説検証のペースメーカーのような役割を果たすことを想定しています。

新しい試みということもあり様々な課題に直面しながらも、それらを乗り越えて現在は定常運転ができているとのことです。

江口氏は最後に、「アジャイルとは開発プロセスだけを指すのではなく、働き方のことでもある。システム開発業務だけでなく、開発以外の業務にも適用できる」と説明。「VUCAの今、何ができるか。仮説検証型の文化を今のうちに社内に浸透させることが重要」と述べて講演を締めくくりました。

4年ぶりに来日したシフトテクノロジーCEO兼共同創業者ジェレミー・ジャウィッシュや、生損保リーダーが登壇して保険の未来について語った本イベント。第二部の懇親会では登壇者と来場者、そしてシフトテクノロジーのメンバーが和やかな雰囲気で交流するなど、有意義な時間となりました。

シフトテクノロジーはこれからもテクノロジーを最大限に活用し、お客様およびパートナーの皆様の未来に貢献して参ります。

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